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網膜光凝固術

網膜光凝固術とは

網膜光凝固術(レーザー治療)は、網膜のいろいろな病気に対しての治療として行われています。特定の波長のレーザー光で病的な網膜を凝固させることによって病気の進行を抑える治療です。ただし、この治療は網膜症進行を阻止することを目的としたものであり、視力が回復するわけではありません。病気の状態によっては、1日でのレーザー治療終了を予定せず、数回に分けてレーザー治療を行う場合もあります。

適応となる疾患

糖尿病網膜症

糖代謝異常に伴い網膜に異常をきたす疾患で日本では失明原因の第2位を占めています。網膜の毛細血管が閉塞して血のめぐりが悪くなり、硝子体の出血や黄斑部の浮腫、さらに進行すると牽引性の網膜剥離を起こし視力が低下します。

血のめぐりが悪くなったところに網膜光凝固をおこなうことにより、網膜の虚血や低酸素の状態を改善させて新生血管(悪い血管)の発生予防や視力低下の原因となる黄斑部浮腫の軽減・消退する効果が期待できます。あくまでも網膜症の病勢を抑えることが目的で直接に視力が回復するわけではありませんが、進行した症例に対しては有効な治療方法です。

症例1 糖尿病網膜症(増殖網膜症)

症例1 糖尿病網膜症(増殖網膜症)

Dr からのコメント
右眼(写真左側)は硝子体出血、左眼(写真右側)は糖尿病黄斑症を伴った症例です。血糖コントロールと投薬と並行して網膜光凝固術をおこないました。この症例では網膜光凝固が奏効し、硝子体手術をおこなうことなく、病状を沈静化することができました。
症例2 糖尿病網膜症(増殖網膜症)

症例2 糖尿病網膜症(増殖網膜症)

Dr からのコメント
両眼ともに白内障と硝子体出血を合併していた症例です。白内障手術と硝子体手術の同時手術に加えて、手術前後網膜光凝固をあわせておこない、網膜症を沈静化することができました。

網膜静脈閉鎖症

網膜全体に分布する血管に網膜静脈があります。網膜静脈が視神経内の根元や動脈と静脈が交差しているところで閉塞し 眼底出血や網膜浮腫を生じる病気です。網膜の出血や浮腫が黄斑部にかかった場合は視力が大きく低下します。50~60才以上の方に多くみられ、高血圧・動脈硬化・不整脈などが原因となることが多い病気です。

網膜静脈閉塞症には、根の部分が閉塞し網膜全体に出血する網膜中心静脈閉塞症(CRVO)と、一部が閉塞し網膜の限局した部位に出血する網膜静脈分枝閉塞症(BRVO)があります。

症例1 左眼上方に生じた網膜中心静脈分岐閉鎖症

症例1 左眼上方に生じた網膜中心静脈分岐閉鎖症

Dr からのコメント
網膜中心静脈分枝閉塞により、著明な黄斑浮腫を生じており視力低下をきたしていましたが、抗凝固剤と循環改善剤の投与に並行して、網膜光凝固をおこなうことで視力が改善しました。
症例2 左眼下方に生じた網膜中心静脈分岐閉鎖症

症例2 左眼下方に生じた網膜中心静脈分岐閉鎖症

Dr からのコメント
症例1と同じく、網膜中心静脈分枝閉塞により黄斑浮腫を生じて視力低下をきたした症例です。抗VEGF薬の硝子体内投与を併用することで比較的早期に回復することができました。

網膜裂孔

網膜に裂け目ができて穴が開いた『網膜裂孔』をそのままにしておと、その裂け目から水が入りこんで網膜が徐々に剥がれ、網膜剥離が拡がってしまいますが、網膜裂孔のまわりをレーザーで焼き固めることで進行を阻止します。

網膜裂孔

中心性漿液(しょうえき)性脈絡網膜症

網膜の黄斑に脈絡膜(目に栄養を供給している組織)から漏れ出た液がたまってしまう病気です。30~40歳代の男性に多くみられ片眼だけに発症することが多いです。疲れやストレス、酒、タバコなどが誘因となることが多く、視力低下や中心暗点、変視症、小視症などを生じます。 自然に半年ぐらいで治ることもありますが、再発しやすい特徴があります。症状が強く、治りが悪い場合は、蛍光眼底撮影で確認した漏出点をレーザー凝固する治療をおこないます。

費用

網膜光凝固術(通常のもの)

自己負担割合 金額
1割 11,000円前後
2割 18,000円まで(上限)
3割 35,000円前後

網膜光凝固術(その他特殊なもの)

自己負担割合 金額
1割 18,000円まで(上限)
2割 18,000円まで(上限)
3割 55,000円前後
  • 高額医療の申請(限度額認定証の提示)がある方は限度額が変わる場合があります。
  • 上記は片眼のみの費用です。糖尿病網膜症などで同一眼に複数回にわけて施術をおこなう場合、一連のものとして取り扱われるので、1回で終了しても複数回にわけても施術費用の総額は変わりません。