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近視治療・仮性近視

近視について

近視の進行と眼軸長の伸展

近視の進行と眼軸長の伸展

近視は、ピントが網膜の手前で合う状態です。多くは眼球の前後の長さ(眼軸長)が少しずつ伸びることで起こります。体の成長とともに眼軸長が伸びるほど焦点は前方にずれ、遠くがぼやけます。一度伸びた眼軸は基本的に元には戻りません。

一般に成人の眼軸長は約23~24mmです。成長期は眼軸が伸びやすい時期で、学齢期には年間0.1~0.3mm程度伸びることがあり、眼軸が長くなるほど将来の強い近視・合併症リスクが上がると言われています。

近視の割合

近視の割合

日本・韓国・台湾・シンガポール・中国などの東アジアでは近視の割合が特に高いこと、近年小学生の約4割、中学生の約6割、高校生の約7割が裸眼視力1.0未満と報告されています。
2050年までに世界人口の49.8%に上ると予想されています。

近視が進行する原因

近視進行に影響する要因は主に次の3つです。

遺伝

ご家族の中に近視の方が多いほど、近視になる可能性が高く、近視が進みやすい素地があります。

生活環境

本やタブレット、スマホなどの至近距離の作業が長い、作業距離が近い、休憩が少ない(連続して見続ける)、屋外で過ごす時間が少ないことがあげられています。

成長期

体の成長とともに眼球も発育する時期で、成長と共に眼軸が伸びやすく、近視が進みやすいです。

近視を進行させないようにするポイント

近視進行予防

様々なことが言われていますが、近視進行の原因である眼軸長伸展(目の長さが長くなること)の抑制効果がはっきりと確認されている治療法の中で主に採用しているものとして、
1)低濃度アトロピン点眼(目薬)2)オルソケラトロジーがあげられます。
※但しいずれの方法も近視進行を完全に抑制することはできません。

また、日常生活の中でも比較的実施しやすそうな事項をまとめてみました。

  • 1〜2時間外遊びで遠くを見る。
     (太陽光に含まれる紫色の波長の光「バイオレットライト」を浴びることが近視抑制に効果的であるとも言われています。)
  • 本やノートと目の間を30cm以上はなす。
  • 鉛筆はHB以上の濃いものを使い、字をあまり小さく書かない。
  • 暗いところで本を読んだり字を書いたりしない。
  • 乗り物の中で本を読んだり、寝転がって本を読んだりしない。
  • 机と椅子は自分の体にあった物を使い、姿勢に気をつける。
  • テレビは離れて見る。長時間見ない。見るときは、30分毎くらいに休憩を入れる。

近視進行抑制点眼治療

リジュセア

今までマイオピン点眼液0.01%、0.025%の取り扱いでしたが、マイオピン点眼液0.025%の販売終了に伴い、彩光会グループでは今後国内で製造の承認を得たリジュセアミニ点眼液0.025%のみの取り扱いとなりました。今回のリジュセアミニ点眼液は防腐剤を含まない30 本⼊りの使い切りタイプで1本が1⽇分(両眼分)となっているため、より衛⽣的です。

リジュセアミニ点眼液0.025%

リジュセアミニ点眼液0.025%は、シンガポール国⽴眼科・視覚研究所(SERI)と参天製薬が共同開発した新しい点眼液で、2024 年12 ⽉に国内で初めて近視進⾏抑制の効能効果で製造販売承認を取得しました。

また、点眼の安全性と効果については海外の臨床試験(LAMP研究)や実際にお⼦さんに使⽤して⼀定期間しっかりと経過を追いかけた臨床研究においてリジュセアミニ点眼液0.025%は近視進⾏を有意に抑え、安全に継続できることが確認されています。

彩光会グループではリジュセアミニ点眼液0.025%のみの取り扱いになるため、「今までマイオピン点眼液0.01%を使っていたのに、いきなりリジュセアミニ点眼液0.025%に切り替えて⼤丈夫︖」と⼼配される⽅もいらっしゃると思いますが、0.025%は0.01%よりもしっかりとした効果が期待でき、副作⽤も少なく、安⼼して移⾏していただける点眼液です。
彩光会では、お⼦様の近視進⾏をできる限り抑えるため、最新のエビデンスに基づいた治療を提案してまいります。

リジュセアミニ点眼液の特徴
  • 両眼へ1日1回就寝前に1滴ずつ使用します。約8時間点眼の効果が持続し、近くが見えづらくなります。
  • 副作用はほとんどなく、低濃度アトロピン(=リジュセアミニ)特有の散瞳や調節麻痺によるまぶしさ・手元のぼやけが起こりますが、濃度が低く短時間でおさまる為、就寝前の点眼で日中への影響は少ないとされています。
  • 1箱30本入り(30 日分)で開封後は残液が残っていても破棄してください。1回分ずつの使い捨て容器で防腐剤を使用しておらず、清潔に使えるのが特徴です。長期使用でも角膜への負担が少ないとされています。
  • 目の遠近調整機能(手元を見る作業)に殆ど影響を与えないと報告されています。
  • 治療の効果を得るためには少なくとも2年間以上の継続が推奨されます。
  • 治療は、近視の進行を抑えるものであり、現在の近視を治して視力を回復させるものではありません。なお、点眼の効果には個人差があります。1箱30本入り(30日分)で開封後は残液が残っていても破棄してください。
ご注意いただく点

下記の症状、その他、不快な症状が現れた場合は使用を中止し診察を受けて下さい。

  • 点眼後にまぶしさや強い光への不快感、近くのものがぼやける、目がかすむといった症状が出ることがあります。
    通常は数時間で治りますが、症状が続く場合は医師にご相談ください。
  • 近目やまぶたのかゆみ・湿疹などのアレルギー症状が起こることがまれに報告されています。
  • 目やまぶたのかゆみ・湿疹などのアレルギー症状が起こることがまれに報告されています。
推奨

5歳~15歳まで、軽度~中等度までの児童

処方の流れ
  • お子様の視力や目の状態などの検査・診察を行います。
  • 診察後、ご希望があれば、リジュセアミニ点眼液0.025%(点眼薬)を処方、眼軸長測定検査などを行います。
  • 処方後は1ヵ月~3ヵ月毎に検査、診察のため受診して頂き点眼薬を処方します。
費用

本治療は自由診療(保険適応外)です。

点眼代:リジュセアミニ点眼液0.025%
1ヶ月分: 6,600 円(税込)
3ヶ月分:16,500 円(税込)
検診代(検診時毎回かかります)
再診時 1,100 円(税込)
(※初診時と同時に点眼治療を開始する場合は 5,500 円(税込))
眼鏡合わせ代
1,100 円(税込)
(眼鏡合わせ時に点眼処方も希望の場合は、検診代+眼鏡合わせ代+点眼代のお支払いとなります。)

低濃度アトロピン治療が全く初めての方は、初回のみ副作用の有無やしっかり点眼できているかを確認するため点眼薬1 箱の処方で1ヶ月後の受診となります。

気になる方・ご興味のある方は一度受診をお願い致します。
詳しい内容・ご不明な点は、ご遠慮なくお気軽にご相談下さい。

近視治療について

近視の矯正方法としては眼鏡が一般的です。
眼鏡は眼に触れることなく近視や乱視を矯正することができるので最も簡便な矯正方法といえます。

基本的に当グループでは眼鏡での矯正をお勧めしており、希望のある方には他の治療も提案しています。

その他の治療法としてコンタクトレンズ、オルソケラトロジー、レーシック、有水晶体眼内レンズ(ICL、IPCL)などがあります。
中でもお子様でもできる近視治療として、オルソケラトロジーがあります。
オルソケラトロジーとは寝ている間にコンタクトレンズを装用し目の屈折を変えることで日中は裸眼で過ごせるという治療法です。スポーツをされる方等に適しています。

矯正法の特徴

  長所 短所
眼鏡 合併症がない フレームの煩わしさ、強度近視、乱視には像が小さい、ゆがみ、矯正不良など
コンタクトレンズ 視界良好 ドライアイ、アレルギー、まれな感染症などの合併症
オルソケラトロジー
(自費)
視界良好、日中裸眼で過ごせる、元に戻せる 夜間にコンタクト装用、コンタクトレンズと同様の合併症、中止すると元に戻る
レーシック
(自費)
眼鏡から解放される 手術であること、まれな合併症がある、強度近視には無理、元には戻せない、高価
有水晶体眼内レンズ(ICL)
(自費)
眼鏡から解放される、強度近視にも対応可、レーシックより見え方がよい、摘出が可能であり、元に戻せる 手術であること、まれな合併症がある、高価

仮性近視(治る近視)

仮性近視とは

ものにピントを合わせるとき、眼の中のレンズ(水晶体)は厚くなったり薄くなったりします。このレンズの厚みを調節しているのが毛様体筋です。
近くを見る場面が続いたり、体調・姿勢・度数不適合などで毛様体筋の収縮が過度に持続すると、レンズが必要以上に厚くなり、一時的にピントが網膜の手前で合う状態になります。これが仮性近視(調節緊張)です。

構造そのもの(眼軸の長さ)が変化した“本当の近視”ではないため、見え方が日によって揺れたり、夕方に遠くがぼやけやすい、といった特徴がみられることがあります。

この調節の緊張が長く続く、あるいは近視になりやすい素因や環境が重なると、将来的に真性近視(眼軸が伸びるタイプ)が進むことがあります。仮性近視が疑われる場合は、必要に応じて調節麻痺下での屈折検査などで状態を確認し、適正なメガネの度数や見る距離・休憩・照明といった日常の整えを行いながら、経過を見ていくことが大切です。

仮性近視の検査

仮性近視かどうかを調べる方法は、一時的に調節の緊張を取り除いてしまうサイプレジンという点眼を使用して検査します。その検査を行うことにより、本来のメガネの度数(=屈折値)が分かります。その検査で近視の度合いが弱まるお子さんは、短期間の点眼治療などで見え方が改善することがあります。

就学前や小学校低学年のお子さんに時々見られますが、小学校高学年以降になると仮性ではなく本当の近視の割合が多くなっていきます。学校健診で指摘された、見えづらさがある場合は眼科受診をお勧めしています。

なお、検査後数日眩しくなり、ピントがあいづらくなるので週末の検査をお勧めしています。

仮性近視の治療法

目薬による治療

毎日寝る前に、毛様体筋の緊張をとる目薬(ミドリンM)を点眼します。
点眼後30分から1時間で毛様体筋の緊張が取れ、その状態が3~4時間続きます。それを毎日繰り返すことで、毛様体筋が緊張しっぱなしにならないようにします。