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近視治療・仮性近視

近視について

近視の割合

近視の割合

私たちの目は、生まれてから成人に至るまで眼球は徐々に成長していきます。生まれたときは軽度の遠視ですが、眼軸長(目の長さ)が長くなっていくにつれて目の構造上、近視になっていきます。 また、私たち日本人は欧米の諸外国と比べ近視自体の有病率が極めて高いようです。

最近の学校保健統計調査では、小学生の3分の1、中学生の2分の1以上が裸眼視力1.0未満となっており、さらに低下傾向が続いています。

近視が進行する原因

近視の進行に関して世界中で様々な研究がなされています。アメリカやオーストラリアなどで行われた信頼性があるコホート研究を要約すると、近視の進行は

  • 遺伝的因子にもっとも影響を受け
  • 田舎より都市部の方が速く
  • 近業(ゲームやマンガ、勉強など)の程度が強いほど速く
  • 戸外活動(外で遊ぶ、スポーツするなど太陽光を浴びる)により発症が抑制され
  • IQや学歴と相関があることが明らかになっています。

例えば、両親共に近視の子どもは、両親いずれも近視でない子どもに比べ、近視になるリスクが8倍高く、片親のみが近視の子どもは、両親いずれも近視でない子どもに比べて、近視になるリスクは2倍高いことが明らかになっています。

近視になったときの対処法

日常生活の中でも比較的実施しやすそうな事項をまとめてみました。

  • 本やノートと目の間を30cm以上はなす。
  • 鉛筆はHB以上の濃いものを使い、字をあまり小さく書かない。
  • 暗いところで本を読んだり字を書いたりしない。
  • 乗り物の中で本を読んだり、寝転がって本を読んだりしない。
  • 机と椅子は自分の体にあった物を使い、姿勢に気をつける。
  • テレビは離れてみる。長時間見ない。見るときは、30分毎くらいに休憩を入れる。
  • 近業が長時間続く可能性が高くなるので、ゲームは極力しない。

近視の進行予防

近視進行予防効果と眼軸長伸展(眼が大きくなること)抑制効果がはっきりと確認された治療法には「低濃度アトロピン点眼薬(目薬)」「累進屈折力レンズ(メガネ)」がありますが、後者は効果が不十分であり近視進行予防としてはお勧めできません。

また、最近オルソケラトロジーが近視の進行を抑制するという発表があります。さらに、1日1~2時間程度の外遊びで遠くを見たり、太陽光に含まれる紫色の波長の光、「バイオレットライト」を浴びることが近視抑制に効果的であるとも言われています。

近視の進行と眼軸長の伸展
子どもの近視は、主に眼球が前後に伸びる(眼軸長が伸びる)ことで、ピントの合う位置がずれることにより生じるケースが多くあります。近くを見ることが習慣化してしまうと近視になりやすく、一度眼軸長が伸びてしまうと戻ることがありません。そのために眼軸長の伸びを抑えることが、近視の進行を抑制するためには重要となります。

近視の進行と眼軸長の伸展

近視進行抑制点眼治療

~お子様が近視でお悩みのかたへ~

近視進行抑制点眼治療

近視の進行を抑える目薬をご存じですか?
マイオピン(Myopine)は小児期の近視進行を軽減させることを目的にアトロピンを0.01%、0.025%配合させた点眼薬で、Singapore Natuonal Eye Centre(SNEC:シンガポール国立眼科センター)の研究に基づいて開発されています。

対応可能施設
  • えにわ眼科
  • 新札幌おおたに眼科
マイオピンの特徴
  • 全身への副作用がほぼ皆無の近視進行抑制薬です。
  • 近視の進行を平均60%軽減させると言われています。
  • 日中の光のまぶしさに影響を及ぼさないため、サングラスもほぼ不要です。
  • 目の遠近調整機能(手元を見る作業)に殆ど影響を与えません。
  • 毎日就寝前に1滴点眼するだけの、非常に簡単な治療法です。
  • 点眼薬は(1本・5ml)は両眼用で1ヶ月の使い切りです。
  • 少なくとも2年間以上の継続が推奨されます。
  • 点眼薬はGMP(医薬品製造管理および品質管理基準)準拠の工場で製造されています。

治療は、実際の近視を治すものではありませんので治療を行った上で十分な効果が得られない場合があります。

ご注意いただく点

下記の症状、その他、不快な症状が現れた場合はただちに使用を中止し診察を受けて下さい。

  • まぶしさと強い光による不快感や目の痛み
  • 近くの物がぼやけて見え、読み書き等近くを見る作業が困難になる
  • 眼のかゆみやまぶたのただれ
推奨

6歳~12歳まで、軽度~中等度までの児童

処方の流れ
  • お子様の視力や目の状態などの検査・診察を行います。
  • 診察後、ご希望があれば、後日マイオピン(点眼薬)を処方、眼軸長測定検査を行います。
  • 処方後は1ヵ月~3ヵ月毎に検査、診察のため受診して頂き点眼薬を処方します。
費用

本治療は自由診療(保険適応外)です。

1ヶ月毎に検査、診察、点眼薬(マイオピン)処方
検査+診察+点眼薬0.01% 1本  5,500円(税込)
検査+診察+点眼薬0.025% 1本 6,000円(税込)
3ヶ月毎に検査、診察、点眼薬(マイオピン)処方
検査+診察+点眼薬0.01% 1本 11,000円(税込)
検査+診察+点眼薬0.025% 1本 12,000円(税込)

初回や処方濃度変更時等、副作用の有無やしっかり点眼できているかを確認するため点眼薬1本の処方で1ヶ月後の受診となります。

気になる方・ご興味のある方は一度受診をお願い致します。
詳しい内容・ご不明な点は、ご遠慮なくお気軽にご相談下さい。

※えにわ眼科・新札幌おおたに眼科のみ処方が可能となっております。
※札幌かとう眼科での取り扱いはございませんのでご注意下さい。

近視治療について

近視の矯正法としては眼鏡が一般的です。眼鏡は目に触れることなく近視や乱視を矯正することが出来ますので最も安全で便利な矯正方法と言えます。

次にコンタクトレンズが挙げられます。現在、国内のコンタクトレンズ装用者は1500万人以上と言われ、かなりの方が使用しています。眼鏡と異なり目に直接触れて近視や乱視を矯正しますので、アレルギー性結膜炎やドライアイを起こす方がいらっしゃいます。また、不適切な使用法などで角膜感染症などを引き起こすこともあり重症化した場合は後遺症が残る可能性もあります。適切なコンタクトレンズの使用を心がけ、定期的に眼科検診を受けることで、合併症をなくし快適に生活することが出来るようになります。

基本的に当院ではまず眼鏡での矯正をお薦めしており、希望の時がある方には合併症のことを理解して頂いた上でコンタクトレンズを処方しております。

その他の治療としてオルソケラトロジーやレーシック、有水晶体眼内レンズ(ICL)などがあります。 当院ではオルソケラトロジーとICLを行っております。

オルソケラトロジーとは寝ている間にコンタクトレンズを装用し目の屈折を変えることで日常裸眼で過ごせるという治療法です。ホコリのたつ場所で仕事をしなければならない方やスポーツされる方が適しています。 また重症でないドライアイの方やパソコンを長時間する方でコンタクトレンズが辛い方など、通常のコンタクトレンズが適さない方はオルソケラトロジーも一つの方法です。

また強度の近視の方は眼鏡での生活が辛い場合があり、ドライアイやアレルギー性結膜炎、ホコリの中での仕事が多い方などは有水晶体眼内レンズ(ICL)という選択肢もあります。これはH22年2月に厚生労働省で認可を受けたレンズで、目の中にレンズを埋め込んでしまうと言う矯正方法です。 強度の近視の方はレーシック(角膜を削る矯正方法)では十分に対応できませんでしたが、ICLは優れた矯正効果を発揮します。

矯正法の特徴

  長所 短所
眼鏡 合併症がない フレームの煩わしさ、強度近視、乱視には像が小さい、ゆがみ、矯正不良など
コンタクトレンズ 視界良好 ドライアイ、アレルギー、まれな感染症などの合併症
オルソケラトロジー
(自費)
視界良好、日中裸眼で過ごせる、元に戻せる 夜間にコンタクト装用、コンタクトレンズと同様の合併症、中止すると元に戻る
レーシック
(自費)
眼鏡から解放される 手術であること、まれな合併症がある、強度近視には無理、元には戻せない、高価
有水晶体眼内レンズ(ICL)
(自費)
眼鏡から解放される、強度近視にも対応可、レーシックより見え方がよい、摘出が可能であり、元に戻せる 手術であること、まれな合併症がある、高価

仮性近視(治る近視)

仮性近視とは

まだ小さいお子さんの場合、うまくピント調整が出来ずに、本当は近視ではないのにあたかも近視かのように指摘される仮性近視の場合が時々あります。

近くの物を見るときには、眼の中のレンズ(水晶体)がふくらんで厚くなります。この調節は、毛様体筋という筋肉が緊張したりゆるんだりしながらレンズのふくらみ具合を調節しています。本を近づけて読みすぎたり、長時間ゲームをしたりするとこの筋肉が縮んだ状態が続き、レンズが薄くならないために遠くが見えにくくなってしまいます。これを調節緊張といい、仮性近視と呼んでいます。

短期の調節緊張による仮性近視であれば、正しい治療と生活習慣の見直しで回復も可能です。小学校低学年の子どもなど、低年齢ほど仮性近視の割合が多いとされており、年齢が上がるにつれて、仮性近視の確率は減っていきます。

仮性近視の検査

仮性近視かどうかを調べる方法は、一時的に調節を取り除いてしまうサイプレジンという点眼を行います。点眼することにより本来の屈折値が分かりますので、その検査で近視が減るお子さんは、点眼治療等を行うことで視力の回復が得られます。就学前や小学校低学年のお子さんに時々見られますが、小学校高学年以降になると本当の近視の割合が多くなっていきます。検査後半日くらい眩しくなり、ピントがあいにくくなるといった状態になりますので、土曜日などをお勧めしています。

仮性近視の治療法

仮性近視と診断された場合は点眼治療やワックなどの訓練を行いますが、本物の近視に対しては治療効果がないため、基本的に治療を行っておりません。しかし、仮性近視かどうかの検査をご希望されず、とりあえず治療をご希望される方も多くいらっしゃいます。その場合は視力が改善するかどうかは分かりませんので、1,2ヶ月治療を行っても視力の改善が見られないお子さんは、本物の近視になっていると判断し、本人が不自由を感じていれば、眼鏡を作ってあげると良いでしょう。

仮性近視については、専門家の間でも意見が分かれるところで、全く存在しないという医師もいます。しかしながら、調節緊張の目薬や、ワックなどの訓練で回復するお子さんがいるのは事実で、時に小学校高学年でも仮性近視であることもあります。どちらが正しいというのはありませんので、当院では、上記を踏まえ、検査後必要な方、ご希望がある方などに下記治療を行っております。

目薬による治療
毎日寝る前に、毛様体筋の緊張をとる目薬(ミドリンM)を点眼します。点眼後30分から1時間で毛様体筋の緊張が取れ、その状態が3~4時間続きます。それを毎日繰り返すことで、毛様体筋が緊張しっぱなしにならないようにします。

学校検診でたくさんのお子さんが受診されます。単に視力を知りたいだけの方、仮性近視かどうかの検査をご希望される方、検査をせずに点眼治療をご希望の方、眼鏡をかけたい方、様々です。子どもの近視に対する考え方は医師も保護者の方も様々ですので、医師と相談の上、方針を決められることをお薦めします。